通訳案内士(通訳ガイド)試験情報



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参考教材
「英語で語る日本事情」(JapanTimes社刊)
2次Sample Interviews (CD)

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■試験傾向分析(2)ー英作文問題に対するソリューション

江口裕之
最高教育責任者
江口裕之


■英作文問題の最新傾向

 傾向として、日本の観光や文化に関する和文の英訳が多く見られます。その特徴を挙げておきます。

  1. 英作文問題用としての特別な和文ではなく、新聞やエッセイなどで見かけるごく自然な和文が多い。
  2. 一部、訳中に日本文化特有の用語を知らなければ訳せない部分がある。
  3. 必要な解答の長さに比して配点が少ないため、大きなブロック単位での正確かつ自然な英語表現力が必要となる。

ガイド試験の英作文問題は、近年、質が向上してきたように見受けられます。従来、日本で見られてきた受験英語における英作文問題は、日本語の個々の表現に対応する英語表現を逐語訳的に求めるものが多かったようですが、上記(3)の条件のもとでは、メッセージを正確に伝えることが最優先となります。本来、センテンスの各構成単位を逐語的に英語に訳して連結させても、その英文自体が不自然になることが多く、ましてや前後のセンテンスとの流れが途切れてしまうことが多くなります。

ガイド試験の英作文問題の解答に求められるのは次の点です。

  1. 各センテンスの意味が正確で情報が原文と同等であること。
  2. 文法的な誤りが少なく、表現が自然であること。
  3. パッセージ全体が和文と同じく、まとまった内容として書かれていること。

■英作文問題の実際例

例題1:2007年度問題:6番

回転ずしは、多くの日本人の食生活に溶け込んでいます。かつて、すしは高級な料理の代名詞でした。しょっちゅう食べるものではなく、お祝いや特別なお客さんが来たときのおもてなしなどに登場しました。回転ずしが全国に普及したことで、高級な印象のあったすしを食べることの敷居は低くなりました。さほど値段を気にせずに好きなものを、好きなだけ食べることができます。その点では人々の食生活を豊かにしたといえるでしょう。しかしその一方で、何か満ち足りないもの、今の日本人の食に対する安易な姿勢も垣間見られるように思います。


【着眼点】

直訳では英語として意味を成さないような個所がいくつか見られます。「筆者が言いたいこと」を優先して英語的な発想で訳す必要があります。例を挙げましょう。

  1. 「回転ずしは、〜」
    → Kaiten-zushi, sushi served on a conveyer belt, 〜
    ☆ 「回転ずし」のような日本的事情については最低限の説明を加えておかないと、英文の読み手には理解できないでしょう。ここらあたりがガイド試験独特の英作文の難しさと言えます。
  2. 「多くの日本人の食生活に溶け込んで〜」
    → ... is now a part of everyday food for many Japanese.
    ☆ 意味を優先します。ここは、... is now incorporated into the Japanese ordinary diet.のような書き方も可能です。
  3. 「しょっちゅう食べるものではなく、〜」
    → ...was not an everyday food, but〜
    ☆ 2.の訳に合わせてeveryday foodで統一すると読みやすい英文になります。
  4. 「高級な印象のあったすし」
    → sushi that was once regarded as an expensive food
    ☆ 「印象」は直訳よりもこのように処理した方が簡単です。なお「印象」にimpressionを使う場合、動詞にhaveを用いてhave an impression that〜とすると主語には「印象を受けた人」を取ることになります。sushiを主語するには、giveを使って、sushi that gave the impression of being an expensive foodのように書く必要があります。
  5. 「すしを食べることの敷居は低くなりました。」
    → Eating sushi is now more common.
    ☆ 最も直訳を避けたい個所です。「すしを食べるのはもっと一般的になっています。」と解釈すれば簡単に訳せます。
  6. 「何か満ち足りないもの、今の日本人の食に対する安易な姿勢も垣間見られるように思います。」
    → There can be observed among the modern Japanese some thoughtless attitudes toward food, resulting in something left to be desired.
    ☆ 最後の日本文は何が言いたいのか分かりにくい部分です。そのような場合、原文をしっかり解釈した上で訳さないと筋が通らず、英文自体が無意味なものになってしまいます。ここでは、「食べ物に対する思慮に欠ける態度が日本人の中に見られ、遺憾な結果となっている」と解釈して訳すことにしましょう。

【解答例】

Kaiten-zushi, sushi served on a conveyer belt, is now a part of everyday food for many Japanese. Sushi used to be a byword for haute cuisine. It was not an everyday food, but was served on happy occasions or to entertain important guests. Because kaiten-zushi became prevalent across the country, eating sushi that was once regarded as an expensive food is now more common. People can now eat what sushi they want as they please without caring much about the prices. In this regard, it can be said that kaiten-zushi made Japanese eating habits affluent. On the other hand, there can be observed among the modern Japanese some thoughtless attitudes toward food, resulting in something left to be desired.

例題2:2006年度問題:7番

日本ほど国のすみずみによい音楽ホールがある国はない、と書くと、びっくりする人が多いと思う。わが国には本当の音楽ホールがない、けしからん、というのが常識のようになっているからだ。だが、日本に演奏旅行に来た多くの外国のオーケストラがびっくりするのは、かなり小さな町にも立派なホールがあることである。実際、ヨーロッパやアメリカは、大都市を除くとホール事情が極めてよくない。田舎に行くと、昔のちっぽけな映画館を改造した、みすぼらしくみじめな小屋で演奏をしなければならなかったりする。

着眼点】

逐語訳ができない部分が多々あり、かなり難易度は高いと言えます。しかし、日本語を柔軟に読み変えることで、簡単に訳せるようになります。例を挙げましょう。

  1. 「〜と書くと、びっくりする人が多いと思う。」
    → I think many people will be surprised when I write〜
    ☆ ifではなくwhenを使うのがコツです。
  2. 「〜がない、けしからん、」
    → regrettably lack〜
    ☆ 「けしからん」を別に訳さず、副詞で挿入処理するのがコツです。
  3. 「〜というのが常識のようになっている」
    → It is commonly known that〜
    ☆ 「常識」の訳にこだわらないのがコツです。
  4. 「外国のオーケストラがびっくりするのは〜」
    → What surprises foreign orchestras ... is〜
    ☆ 直訳でも訳せますが、このようにすると英語らしくなります。日本語の構文にとらわれず柔軟な発想で書くのが流れをよくするコツです。
  5. 「昔のちっぽけな映画館を改造した〜」
    → 〜that was converted from a small, old movie theater
    ☆ 改造にreformを用いるのは和製英語です。英語ではrenovationと言いますが、ここではbe converted from〜を用いました。このような表現に対する知識は英作をどれだけ実践しているかによります。つまり、練習の《量》がモノを言うわけです。

【解答例】

I think many people will be surprised when I write that no country can match Japan in the number of good quality concert halls found throughout the country. It is commonly known that Japan regrettably lacks an authentic concert hall. What surprises foreign orchestras visiting Japan for a performance, however, is even very small towns often have good concert halls. In fact, the quality of many concert halls in Europe and America is very poor outside of urban centers. In rural areas, musicians might have to play in a shabby and miserable building that was converted from a small, old movie theater.

例題3:2005年度問題:7番

日本人は旬を大切にしている、といいながら、実は和食は旬を軽んじているように思われてなりません。野菜や果物など、まだ持ち味を十分出し切っていないときに早々ととってしまいます。その上、たいして美味しくないのに、季節はずれの希少価値のせいで値段がばか高い。ヨーロッパのほうがずっと旬にメリハリがあります。初夏のアスパラガス、秋のきのこや野生の鳥獣、冬の牡蠣や帆立貝。考えただけでも口につばが出てきます。日本は帆立貝なんて一年中ありますが、これは冷凍技術の進歩によるものにすぎず、福音かどうかわかりません。


【着眼点】

エッセイ風の文章で、一見、訳しにくいように思えますが、それぞれのメッセージが英語ではどのような発想になるかを「口語」風に考えていくと、かなりスムーズに訳せます。例を見てみましょう。

  1.  1. 「旬を大切にする」「旬を軽んじる」
    → 「食べ物の季節を大切にする(make much of the seasons of food)」「季節を軽く見る(make light of the seasons)」
  2. 「まだ持ち味を十分出し切っていないときに早々ととってしまう」
    →「熟する前に収穫される(be harvested before they have reached maturity)」
  3. 「旬にメリハリがある」
    →「季節性に強調を置く(place more emphasis on seasonality)」
  4. 「福音かどうかわからない」
    →「必ずしも良いことではない(be not necessarily a good thing)」

自信を持って書ける英語表現を使っている限り、文法ミスを犯すことや意味がおかしくなることはありません。要は、問題文の日本語表現が、自分が自信を持って書ける英語表現のどれに対応するのかが分かりさえすれば、簡単かつ自然な英語に訳すことができるわけです。その力を磨くためには、数多くの問題を解き、日本語を読む柔軟さ、そしてそのメッセージに対する柔軟な英語的発想力を身に付けることです。

【解答例】

Although the Japanese say they make much of the seasons of food, I can’t help but think that Japanese food, in reality, makes light of the seasons. Vegetables and fruits are, for example, are harvested well before they have reached maturity. In addition, out of season foods, though they often don't taste very good, are sold at rip-off prices because of their rarity. European cuisines actually place more emphasis on seasonality by far. The thought of asparagus in early summer, mushrooms and wild game in autumn, and oysters and scallops in winter makes my mouth water. Scallops are available in Japan throughout the year, but it's due to refrigeration technology, and is not necessarily a good thing.

例題4:2004年度問題:7番(抜粋:一部省略)

飲食施設において、席料や、税金、サービス料などを請求する際に、外国人客があらかじめ了解していなかったとして、支払いを拒否しトラブルの原因となる場合が少なくありません。それでは、せっかくの美味しい料理と心のこもったサービスも後味の悪いものになってしまいます。

【着眼点】

  1. 日本語の構文よりも英語での構文と意味を優先しましょう。それぞれを別々に訳しても英語では連句として成立しない場合もありますので、 修飾・被修飾関係は英語として自然な語を考える必要があります。
    → 「トラブルの原因となる場合が少なくない」は「飲食施設」を主語にして「トラブルの原因となる場合が多い」 often have trouble with foreign guests のように意味を優先して訳すと理解しやすい英文になります。

  2. 日本語を訳すというよりも、英語ではどのように表現されているかを知っておく必要があります。
    → 「〜も後味の悪いものになってしまう」は直訳では明らかに理解しくい文章になると予想できます。その場合、実際の状況を想像して、どのような気持ちになるかを英語で考えて表現しましょう。例えばここは、become less appreciated のように処理すると効果的です。

【解答例】

When Japanese food and drink establishments ask for table charges, taxes, or service charges, they often have trouble with foreign guests who refuse to pay the extra charges because he/she didn’t understand the system. If this happens, both good meals and sincere services become less appreciated.


■英作文問題に必要な英語力

さて、上記の内容をまとめると、通訳ガイド(通訳案内士)試験の『英作文問題』は、単に表現を知っているかではなく、それらの表現の「運用能力」が問われていることがわかります。数多くの自然な英文に触れ、吸収し、自分で運用できるようになることが重要です。

■CEL英語ソリューションズからの提案

ここでCELから通訳ガイド(通訳案内士)第1次試験の『英作文問題』に対処するための4つのソリューションズを提案します。

☆ソリューション1 慣れる
新聞・雑誌などの多読を通じて、自然な英語表現に数多く触れること。

☆ソリューション2 内容伝達を優先
逐語的な英訳に偏らず、センテンス、パッセージ全体のメッセージを伝えることを優先すること。

☆ソリューション3 英語で発想する
英語で発想する習慣を身に付けること。英語的な発想で英文を書くことは、また、英語的な発想による会話能力を助長します。

☆ソリューション4 数多く書いてみる
既存の正しい英語表現を数多く書いてみること。音楽やスポーツ同様、練習量が最も重要です。

■オープンスクールで実践練習

CEL英語ソリューションズでは具体的に上記4つのソリューションを英語学習に組み入れるための方法を「通訳ガイドコース」にて皆様に提供させていただいております。まずはCELの授業を無料でご体験いただけます「オープンスクール」にご参加いただくことをお薦めいたします。


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